先日の市議会では、郷土の歴史研究についての一般質問もあった。
残念なことに一色地域や幡豆地域では、埋蔵文化分布調査や社寺の
悉皆調査は行われていない。
平成7年8月に有志の女性が集まって『一色の民話』を子どもたちに
伝え残していきたいと「一色の民話研究会」を立ち上げた
幡豆や吉良には、すでに立派な民話の本が出来上がっていたが、
一色だけそのような類のものがなかったからである。
堀尾幸平愛知淑徳大学教授と一色町地方史同好会の榊原稔氏にご指導を
仰ぎ、町のお年寄りへの聞き取りや町史を紐解くなどして慣れない編纂
作業が始まった。何度も何度も校正を重ね、やっと平成13年11月に
『一色の民話』『続一色の民話』の2冊が出来上がった
挿絵は現職の学校の先生方が快く協力して下さった。
ちっとも満足のいくものが書けず、ずいぶん情けない思いをしたもの
だが、今となっては良い思い出である。まだ、40歳そこそこだったし・・
時の町長は歴史文化には関心が薄かったので、出版費用は書き手が各々
出し合って、自費出版のような形を取った。
行政の方から編纂を頼まれて取り組んだ吉良町や幡豆町とは大違いである。
最近、当時のお仲間と会うと
「一色の良いもの、歴史や文化はしっかり残していかなくてはいけない」
という話で盛り上がる。
そして、つい昨日、とても嬉しい話を聞いた。
一色町閉町記念誌に『大ぢょうちん』と『えびせんべい』に
まつわる民話が載っているが、それを見たIT関連企業の方から
IPadでその民話を読めるようにしたいとの申し出があった、という
のである。しかも英訳の話も・・・。
「すごいね。大変だったけど、書いておいてよかったね!」と
書き手のSさんと喜んだところである
合併して、地域文化広場が再整備されたら、緑豊かな、子どもも
大人も音楽や芸術を楽しんだり、時にはマルシェ(市場)が立って
にぎわったり、心がゆったりするような空間ができる・・と
夢を膨らませていたが、先日の報では、それも大幅な見直しとなってしまい
結局、現在とあまり変化のない「クルマ中心」の空間となってしまうようだ
「一色の未来もこれで終わりだな・・」と少々大げさな気持ちでこの一カ月
落ち込んでいたが、公民館に行くたびに、やっぱりここで人々がいつまでも
文化や芸術に親しみ、人が集い続けられるよう知恵を出し合っていかなければ
いけないな、と思い直している今日この頃である
歴史や文化を守るということ
2011/09/09