凧になったお母さん

2012/01/20

1月19日(木)
ひまわり朗読会定例会。先月から始まったテーマは「戦争・災害」
一つは定番の「かわいそうな像」もう一つは「凧になったお母さん」
野坂昭如の作ですが、私は野坂さんと言えば「火垂るの墓」ぐらいしか
知りませんでした。
戦争童話集に収められたこの作品は、
第二次大戦中の空襲下で、ぼうぼうと燃え盛る戦火の中を我が子を抱き抱え
逃げまどい、子どもだけは死なせまい、と母親が自らの身体の水分を与え
ついに自分はカラカラの身体になって、凧のようにペラペラと空に舞い上
がってしまう、という壮絶な話です。
そのお母さんは、初めは熱で汗にまみれた自分の胸から汗を掬い取って
化粧水を塗るように我が子の顔に塗りつけるのです。それでもすぐ乾いて
しまうから、次は悲しいことを想像し、涙を振り絞って同じように我が子に
塗りつけます。そして今度は、出ないはずの母乳です。必死にお母さんは
乳房を揉んで我が子の身体じゅうに振りかけてやります。そして、ついに
お乳もやがて尽きてしまいます。
そしてお母さんは、最後にどうしたと思いますか?
「熱い!」と泣き叫ぶ我が子を胸に「ミズ、ミズ」とそればかりを考え、
呪文のように唱えるお母さんの毛穴から血が流れ出し、我が子の身体に
したたり落ちたのです。
もうお母さんの身体は干物のようにぺったんこです。そして凧のように・・

自分の子育て時代を思い、この童話の一言一句が我が事のように胸に
迫ってきてしまうので、朗読していて不覚にも涙ぐんでしまうのです。
これでは、朗読者として失格です。まだまだ修行が足りないのを痛感
した次第です。
午後は、一転楽しく来週のデイサービスでのボランティア活動の練習。